オランダ留学記

トラブルが寄ってくる体質。2022年8月から2023年7月までオランダの大学に交換留学にきています。純ジャパ。

中世を歩く。栄光と衰退と。ブルージュ1。クリスマスマーケット編。

霜月と師走のはざま、ブルージュに一泊二日で行ってきました。歴史地区全体が世界遺産に登録されているブルージュはどこを切り取っても絵画のようで、その幻想的な風景に、中世が歴史から蘇ったような不思議な感覚に襲われました。通常写真は意図的に狙って撮影されるため、実在の景色より写真の方が映えることは最近では当たり前ですが、ブルージュは写真よりもそれ自体が美しい街でした。これから数回に分けてブルージュ編をご紹介したいと思います。1回目はベルギーにおいて、ブリュッセルと1、2を争う人気のブルージュのクリスマスマーケットをご紹介します。

 

世界遺産に登録されている「ブルージュの鐘楼」とクリスマスマーケット

 

ブルージュはベルギー北西に位置する西フランダース州の州都です。この「ブルージュ 'brugj' (桟橋)」という名が文献に登場するのは9世紀。

運河によって北海と繋がるブルージュ
Photo by: Bruges - Wikipedia

ブルゴーニュ公国の首都であったブルージュは北海と繋がる恵まれた地の利を活かし、13世紀から15世紀、ヨーロッパ有数の国際貿易都市として繁栄しました。世界初の証券取引所が作られたのもこの時代のブルージュでした。

 

マリー・ド・ブルゴーニュ
(1457−1482)
街の衰退は、我らの美しきプリンセス、と幼い頃から国中から愛されたブルゴーニュ君主、公女マリーの落馬という不慮の死によって始まります。マリーの後を継いだ彼女の夫で、のちの神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世とブルージュの有力者が対立。ブルゴーニュ宮廷は街を去り、国際商人たちもそれに続きました。時を同じくして、北海の土砂が運河に堆積、ブルージュは貿易都市としての役目をアントワープに譲り、街は歴史の表舞台から姿を消します。ブルージュが再び脚光を浴びるのは、19世紀末。衰退のまま中世の面影を残すこの街は裕福なヨーロッパ人の観光地として再発見されます。2000年には街全体が世界遺産に登録され、現在年間800万もの観光客がブルージュを訪れています。
参考文献:Visit Bruges. The history in a nutshell (ブルージュ歴史概略).

De geschiedenis in een notendop - Visit Bruges

Photo by: 

Marie de Bourgogne, Duchesse de Bourgogne... - medieval autumn

 

ヨーロッパの市場統合図(左:〜1400 右:〜1600)
当時の貿易手形のやりとりの関係を示した図。左図をみると、当時のブルージュは、バルセロナベネツィアと並ぶ三大市場であり、北ヨーロッパ最大の国際商業都市であったことがわかる。16世紀にはブルージュは衰退し、近隣のアントワープアントウェルペン)が台頭している。

中世の時代、ブルージュはロンドンやパリを凌ぐ、最先端の国際都市でした。

 

さて、ロッテルダムからブルージュはお馴染みの長距離バスFlixBusを利用しました。電車よりも少し時間はかかるものの、料金が安いこと、ストライキの影響を受けないこと(旅行中、ベルギー鉄道は絶賛ストライキ中)、直行便も多く乗り換えが少ないこと、などの理由からバスを利用することが多いです。

 

ただ、渋滞にはまり、時間が遅れることもあります。この日は約1時間の遅延発生。

 

この時点でバスに乗って4時間。ブルージュの標識が見えて、やっと高速を降ります。ちなみにオランダやベルギー、ドイツの高速道路は無料です。

 

ホテルへまず向かいます。街に足を踏み入れて最初に思ったことは、道が清潔であるということです。ヨーロッパあるある、湧いてんだろうか?と思うようなゴミ散乱が見当たりません。景観を保つため、こうした努力も行われているようです。うん、いい街。

 

マルクト広場までやってきました。この時点で、16時半。朝紅茶を飲んだきりなので、何か食べに行きたいと思います。

切妻型のギザギザの屋根とカラフルな色合いのギルド(商工業者組合)ハウスは一部カフェやレストランとして利用されていました。

マルクト広場のクリスマスマーケットの様子。

 

さて、軽く食べようと思って向かったのは、ベルギーのパンの有名店。Le Pain Quotidienのブルージュ店。

 Le Pain Quotidien Belgium

 

店の名前は、The daily bread、毎日のパンという素朴な名前ですが、なかなかおしゃれな店でした。調べたら、芝公園店など日本にも店舗あるみたいです。日本すごいな、ほんとなんでもある。

 

頼んだのは、ベルギーだけど、イタリアンタルティーヌ。タルティーヌはオープンサンドのことで、こちらでメジャーな軽食です。値段は€15.45でそれほど軽くありませんが、ヨーロッパの外食は概して高いので、おいしかったし良いとします(まずくて高いとこもたくさん)。オーガニックチーズセットは、ゴーダチーズとヤギのチーズで、€3.95でした。

 

店を出たらもう日が落ちかけていました。暗くなるとイルミネーションで雰囲気が倍増してきます。

ブルージュはクリスマスマーケットが二箇所で開かれていて、こちらはシモン・スティーブン広場のマーケットです。

何気ない通りまで美しい。

何の音だろうと振り返ってみたら、

馬の足音が石造の街に反響していて、その大きさに少し驚きました。

馬の軽やかな足取りは優雅でつい見入ってしまいます。馬車には馬糞受けも付いていて、道が汚れないように配慮されていました。ちなみにロッテルダムの警察騎馬隊は落とし物を道にばら撒いていきます。

 

ブルージュはチョコレートの街。チョコレートショップが街中に溢れています。こういう詰め合わせ、子供がもらったら嬉しいだろうな。

 

とりあえず猫グッズ、犬グッズ作っとけば売れるでしょ、というのは世界共通。実家の猫に似てて欲しくなる。留学中は血中犬猫濃度が低下しているので、些細なことで釣られそうになる。

 

マルクト広場で行われているクリスマスマーケットまで戻ってきました。ブルージュはコンパクトで、徒歩で回れます。

 

クリスマスツリーに結んである白い紐には、願い事が書いてあります。

ちゃきちゃきと働くソーセージ屋台の女性。手早い仕事ぶりで次々にお客さんを捌きます。

 

ブラックソーセージと玉ねぎのソテーのサンドウィッチ、€4.5。特設のベンチでいただきます。

正面には鐘楼。

 

横は州庁舎
そして周りから聞こえる楽しそうな声。
うん、よき哉。

 

Savoyarde(サヴォアヤルド)はフランス風のチーズフォンデュ。人気です。

本当に美しいです。日帰りしようと思っていたのですが、クリスマスマルクトは夜見るものだよ、というこちらの友人の意見に従い、宿泊しましたが、確かに正解でした。

街が煌めいています。

石畳を歩くと結構足に来て疲れるので、一度ホテルに戻り、少し休んでから夕食に出かけました。

www.poulesmoules.be

17世紀の建物をリノベーションしてレストランにしているそうで、あの壁、400年前のか、と思いながら眺めていました。

ムール貝が有名なお店ですが、今回はこちら。ベルギー名物、Carbonnade(カルボナード)。英語だとFlemish Beef Stew(フランドル風ビーフシチュー)牛肉をベルギービールで煮込んだシチュー。肉がごろごろ入っていて、ほろほろ。ソースはビールの風味がほのかに残っていて、これは本当においしかった。パンとサラダ、フリッツがついて€23。3000円ちょっと。

 

レストランを出たら、霧がかなり降りてきてました。

鐘楼も霧に包まれています。

ただの駐車場がこれほど絵になる街が他にあるだろうか。(まあ、あるだろうけど、そう多くはないのでは、と思います。)

霞む運河。幻想的でした。あの橋を渡ったらホテルです。

 

次回は、翌日の街歩きを綴って見たいと思います。ミケランジェロの作品がある聖母教会やベルギービール好きなら垂涎のブルージュ・ゾットの醸造所見学など、ブルージュは小さい街ながら見所がたくさんあって、来る前は正直2日もいて飽きるだろうな、と思っていたのが、見事に裏切られました。

 

 

Pearl Girlに会いにいく。マウリッツハイス、ハーグ美術館編。

一週間以上も空いてしまいました。勉強に本腰を入れていたら少し煮詰まってきたので、ブログを書いて気分転換してみます。

 

今回はハーグ編最終のマウリッツハイス美術館編です。マウリッツハイス美術館は、誰もが一度は目にしたことがあると思われる、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」が所蔵されていることで有名です。以前は、日本をはじめ世界中からの要請を受けて貸し出しされることもあったのですが、現在は門外不出として、この絵を見るためには、マウリッツハイスに出向く必要があります。(ただし、2023年に大フェルメール展をアムステルダム国立美術館で開催するため、特別にアムステルダムでこの絵が展示されることになっています。)

 

フェルメールブルーとも称されるラピスラズリ由来の晴れた午後の海の色のような青から、「青いターバンの少女」としてもよく知られているマウリッツハイス自慢の "箱入り娘"。

フェルメール真珠の耳飾りの少女 (Girl with a Pearl Earring) 」
大粒の真珠の光沢感の描写は本当に見事だと思いました。実際は、真珠の大半は暗色で彩色され、明るい色が使用されている部分は4割以下にもかかわらず、離れてみたとき、際立つ真珠の存在感は、さすが光の魔術師、フェルメールの本領発揮、ということなのだと思いました。

正直可愛らしいとか美人だとかは思わないけど、生きているかのような肌の質感と血色、鑑賞者を見つめる静かな視線と、悲しげにも微笑んでいるようにも見える解釈を見る者に委ねるつかめない表情、そういったことがこの絵を世界的に有名にする魅力なのだと実物をみて実感しました。リス寄りの元祖小動物系女子という感じもします。

真珠の耳飾りの少女のほか、マウリッツハイス美術館には、世界で35点しか現存しないフェルメールの作品が、他に2点あります。

まずは「デルフトの眺望」。美術通の人々から非常に高い評価を得る玄人好みの傑作だそうです。この絵が売りに出されたとき、オランダの最高峰の美術館、アムステルダム国立美術館がこの絵を熱心に所望した話は有名です。結局オランダ政府が買い取り、当時の王様の裁量でマウリッツハイス美術館が所蔵することになりました。(そしてそう聞くと、素人の自分にも素晴らしく見えてくる不思議。)

フェルメール「デルフトの眺望 (View of Delft) 」
さまざまな絵画技巧を駆使した作品にもかかわらず、穏やかで柔らかくそれを感じさせないのがフェルメールの才能なのだと思います。技巧などプロフェッショナルな話はよくわからなくとも、右側から差し込む光に照らされる街並み、穏やかな水面、集う人々、オランダらしい厚い雲の広がる空、全てに静かな時間が流れている、見ているだけで癒される作品でした。

3点目は「ディアナとニンフたち」です。

フェルメール「ディアナとニンフたち」
狩の女神、ディアナが彼女の召使いであるニンフに足を洗ってもらっている場面です。きちんとお座りをしている従順そうな猟犬が個人的にはツボ。フェルメールっぽさが薄いな、と感じたのですが、調べたらほぼ無名だった頃の作品だそうです。マウリッツハイスの説明が非常に参考になります。しかし、やはりフェルメールの絵特有の「静けさ」はこちらの絵にも健在だなと感じました。上品なんだ、フェルメールの絵は。

そしてシャンデリアの灯り、ちょっと邪魔。

『ディアナとニンフたち』 — Google Arts & Culture

 

次はオランダを代表する画家の一人、レンブラントのマウリッツハイスコレクションです。

 

レンブラントといえば、世界3大絵画の一つに数えられているアムステルダム国立美術館所蔵の「夜警(Night Watch)」の作者として有名です。

8月、オランダに到着した足で行った、アムステルダム国立美術館。中央のポスターにも、
"NICE DAY FOR NIGHT WATCH(今日も夜警日和)"
と書いてあった。

 

レンブラント「夜警」と夜警ファッションの女性。
"Nice clothing for Night Watch!(絵にぴったりですね)"
と話しかけたら、
”I know, right? (でしょう?)”
と満足そうでした。実際目の前で見ると、この大キャンバスの光と影を完全にコントロール化においたレンブラントの偉大さに圧倒されます。
ゆえに、このガラス板の境界線が邪魔。これ、ほんとどうにかしてほしい。

 

さて、その巨匠レンブラントですが、自画像を山ほど描いています。今で言うと、自撮り大好きおじさんというところでしょうか。こちらレンブラントの数々のセルフィーならぬ、セルフポートレイトを見ることができます。

 

絵画同様私生活でも抑制の効いたフェルメールとは違い、入ったら入った分(ときにはそれ以上)使ってしまう浪費家のレンブラントは、常にお金がなく自分の腕をアピールするため、自画像を積極的に書いたという説も有力です。まあそこはさすがにレンブラント、金が目的でも素晴らしいものは素晴らしい。

 

こちらがマウリッツハイス美術館が所蔵するレンブラントの「自画像」。

レンブラント「自画像 (Self-Portrait)1969」
最晩年の作品だからなのか、この絵画は巨匠オーラを感じさせない親しみやすい表情が印象的です。でも、テクニックなど最晩年でも衰えないってすごいなと思いました。

 

レンブラント「羽をつけたベレー帽を被った男のトロニー ('Tronie' of a Man with a Feathered Beret) 」
トロニーなので架空の人物。でもこんな絵を見せられたら、写真のなかった当時、自分もこんなふうにかっこよく(加工して)描いてもらいたいって金持ちは思うわな。渋くてドラマチックで、起きたら目に入るように自分の寝室に掛けとくわ!と名士たちがこぞって注文に行ったのが分かる(予想)素晴らしさです。

 

そして夜警と並ぶ、傑作がこちら、「テュルプ博士の解剖学講座」。

レンブラント 「テュルプ博士の解剖学講座 "Anatomy Lesson of Dr. Nicolaes Tulp"
外科医たちの集団肖像画。オランダ版、元祖ターヘルアナトミア。博士の自信に満ちた堂々とした表情、熱心に講義を受ける医者たち、そしてその中心に横たわる真の主役ともいえる死刑囚をも丁寧に描いた、一度見たら忘れられない作品。これ見るとレンブラントやっぱすげーな、と思うし、性格的にちょっと変とか金遣い荒いとか、なんか偉人のちょっとした悪癖って感じに思えちゃうのは、モーツァルトに通じる。

 

死体って子供たちにとって妙に惹きつけられるオブジェクトで、見学の小学生ももちろん釘付けでした。

 

さて、次はこれめちゃくちゃオランダじゃん、と思った2枚です。これらもまたマウリッツハイスを代表する2作です。

ロイスダール「ハールレムの風景 "Haarlem Scenes」
遠くに見える教会と赤茶色の街並み、点在する風車、平らな土地。すこし郊外に行くと今もまさにこんな感じです。The  オランダ。農家の家の前では布を皆で漂白しています。干された白い布は、持統天皇の "春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天香山" って感じでしょうか。

 

パウルス・ポッテル「雄牛(The Bull)」
これは雄牛が等身大で描かれた大きな絵で、画家の気迫が伝わる絵。こちらもオランダオブオランダな風景で、郊外にはこんな景色が続いてます。厚い雲。平たい牧草地。牛、羊ときどきヤギ。手前のカエルとか、牛にたかるハエなど、細かいところまで書き込んである絵でした。

 

カペッレ「Seascape with Ships
漁船商船が入り混じるオランダ黄金時代の海を切り取った絵画。低い地平線と大きな空がこの画家の特徴だそうです。やはりどの絵にも共通するオランダな雲。空、とくに雲の迫力を感じる一枚。

 

美術館はこんな感じで、貴族の豪奢な館に招かれている体で鑑賞できます。実際、マウリッツ侯の館だったそうです。

 

ヤン・ステン「この親にしてこの子あり(The way you hear it, is the way you sing it)」
親子3代の自堕落を描いた作品。楽しい怠惰な生活してるとこんなんなっちゃうよ?やっぱ清貧しないと!という戒めの意味を持つ作品。でも、なんかきっとピューリタン的清貧を是としながら、抑圧された楽しさへの憧れってあっただろうな、と思ってしまった。なので、勝手に決定。この絵の裏テーマ「人生楽しんだ者勝ち」(異論は認めます)

 

ヨルダーンス「羊飼いの礼拝(The Adoration of the Shepherds)」
これリアルだなーと思った。マリアもキリストもその他もろもろも神々しくありがたく描かれがちだけど、実際、羊飼いや農民とか一般庶民ってこんな感じだったろうな、と。赤ら顔とか、しっかりした肉感とか、純朴そうな感じとか。そう言う意味で、宗教画というより、ある農村のコミュニティの新生児誕生を絵にしてみた、というリアリティさを感じる印象的な作品でした。

 

ヤン・プロヴォスト「聖母とキリスト、聖ヨハネ(左)とマグダラのマリア(右)の祭壇画」
こういうのが、まさに祭壇に置く正当な宗教画。高貴なるものは悲しいといえども感情をあらわにしないのです、というような表情の変化に乏しいところが神々しいといえば神々しい。でも宗教と切り離して、絵としてのっぺりとした人間味のないこういう中世ちっくな絵も結構ツボります。(時代としては中世の絵ではないですが)

アントワープの匿名画家による聖カテリーナ(左)と聖バルバラ(右)
どちらも真っ直ぐな背筋から強い意志を感じる。凛としたいい絵でした。

ファン・ミエリス「リナルドとアルミーダ」
十字軍遠征の寓話?から。左の寝ている人がキリスト教側の最強戦士リナルド。右がイスラム軍が送り込んだ魔女アルミーダ。殺すつもりが、イケメンぶりに魅せられてしまい殺せなかったという話から。
でも、個人的には遠足に園児を連れてきて疲れてしまった先生って感じに見えます。キューピッドが園児ばりにやりたい放題やっちゃってます。

これは、当時のビネンホフ。今と変わらないな、と思ったので並べてみました。

 

やはり当時の面影が現在も残ります。昔は、このホフ池は馬が入れるほどの水深だったみたいですが、今ってどうなんだろう、と思ったりしました。

2時間弱滞在して、マウリッツハイスを後にしました。出てくる前に、もう一度この絵を観てきました。



2023年2月10日から6月4日までアムステルダム国立美術館で大フェルメール展が開催される予定で、門外不出のこの絵も特別に貸し出される予定です。来年チューリップの美しい季節にオランダにいらっしゃる方があれば、過去最大規模のフェルメール作品を一度に鑑賞できるまたとない機会ですので、訪れてみてはいかがでしょうか。(うちの親も来たがってます。)

www.risvel.com

 

アムステルダム国立美術館による史上最大規模のフェルメール展の案内。動画で館長が、自分が待ちきれない!と話してます。

www.rijksmuseum.nl

 

 

海と中原中也と犬と。ハーグ後編。

 

ハーグ市街地から歩いて向かったのは、北海に面するスへフェニンゲン(Scheveningen)です。夏場はオランダだけでなくドイツからも多くの海水浴客が訪れる人気のビーチリゾートです。一部の日本の方には、「スケベニンゲン」という名でなかなかに知名度の高いビーチらしいですね。さすがにこの季節は閑散期ということで、地元の方がちらほらと散歩している程度でした。

これが地図でいつも眺めていた北海か、と少し感動。

沖ではサーフィンをしている人が結構いました。ということは波が荒いんだな。そういえば、北海は荒い海で、北海油田のパイプラインを敷設するとき苦労した、と高校時代習ったことを思い出しました。

ということで、寮に帰って地図を引っ張り出しました。

わざわざオランダにまで持ってきた高校地理選択者のバイブル、帝国書院「新詳高等地図」。これを見ると、「知らない地名は、必ず地図で確認しろよ!工業も農業も経済も、気候や地形と密接に関わってる!」という教師の言葉を思い出します。めちゃくちゃ懐い。

スへフェニンゲンは、「スへーヴェニンゲン」と書かれていました。

冬の砂浜は少し肌寒くて、波が荒くて、中原中也だな、これは。

海にゐるのは、

あれは人魚ではないのです。

海にゐるのは、

あれは、浪ばかり。

中原中也、「北の海」より一部抜粋)

ほんと波すげーな、と思いながら、海の写真を撮っていました。
と、そのとき

 

海にいるのはおいらですぜ!!

と颯爽とあらわれたジャーマンシェパード。写真や動画を撮ってると何度も「写りに来てやったぜ!」となぜかカメラ目線で目の前を通っていく。めっちゃかわいい。

 

 

ほぼ毎日ここに散歩にきてるそう。とても賢い子で、遊んでいるボールが砂だらけになると、海に持っていって砂を落としてから、また遊んでました。

 

何度も楽しそうに海に入ってました。

昼もハーリングサンド食べましたが、せっかくなのでスヘフェニンゲンにきたら、ここというハーリングの名店へ。その名も

The Herring House

goo.gl

 

夏は行列ができるらしいですが、流石に閑散期なので空いていました。それでもお客さんはそれなりに途切れません。

注文してから、丁寧に骨を取って、一口サイズにカットしてくれます。

塩やビネガーだけでなくオイルでもマリネしていて、今まで食べたものより濃厚な味わい。お酒案件。

 

ハーリングを食した後、クールハウスに向かって歩いて行きました。

クールハウス (Kurhaus) はビーチリゾート、スヘフェニンゲンを象徴する5つ星ホテル。

1818年開業。クールハウスは、スパハウスという意味らしいです。

こんなシャレオツなホールも。ここで弾いてみたい。余談ですが、15年ほどピアノ習ってました。
Photo by https://www.amrathkurhaus.com/de/galerie

そろそろ日も暮れてきたのでハーグ中央駅に戻りたいと思います。

電車に乗る前に、たくさん歩いたので、糖分を補給したいと思います。

 

Haagsche Oliebollenbakkerij 

www.dehaagscheoliebollenbakkerij.nl

 

たくさんの人が群がっているこの特設屋台は、オランダの年末の風物詩、オリボーレン(Oliebollen)。店の名前は、その名も「ハーグのオリボーレン屋さん」

一言でいうとドーナッツ。見ためは沖縄のサーターアンダギー。中にレーズンなどが入っていて、粉砂糖をかけてくれる。左はアップルフリッツ。シナモンがたくさんの厚切りのりんごのスライスが入ったドーナッツ。オランダ人は大晦日にオリボーレンを必ず食べるそうです。オランダ人のカンファタブルフードなんだろうな。

これはアップルフリッツ。どちらも外はサクッと、中はふんわりしていてとても美味しい。でもこれは、きっと揚げたてを寒い戸外で食べるから、美味しさ倍増なんだと思う。

ライデン大のハーグキャンパスも。

それではロッテルダムに帰るとします。

なんか雰囲気が東京駅の八重洲口に似ています。実は、八重洲はオランダに由来した地名です。江戸時代オランダ人通史、ヤン・ヨーステンの屋敷があったことから、”やよす”から八重洲になったそうです。

なんかこの先に、大丸がある気がしてきた。
似てると思ったので、八重洲北口と比較してみた。
八重洲北口画像は、「バス比較ナビ」サイトよりお借りしました。

https://www.bushikaku.net/article/62302/

ハーグ中央駅に戻ってきました。このガラス張りの駅やっぱりかっこいい。それにしても、中央の人、足の長さおかしくないか?

オランダ人は全体的に高身長であるものの、ここまで背が高い人はオランダでも珍しいです。

 

ロッテルダムに着いたら、まだ17時台なのにもう日が落ちていました。ハーグ中央駅もいいですが、ロッテルダム中央駅も素敵です。ロッテルダムの標語、"Rotterdam. Make it happen.(難しいことや不可能なことを)やってやろう” を体現している駅だと思います。日本人には、蘭姉ちゃんの角、と呼ばれてますが。

 

今日の戦利品。スヘフェニンゲンのハーリングハウスでハーリングの燻製を買ってきました。ふわとろで生の鰻の白焼きを食べているみたいな感じです。このお弁当の折?みたいなものに入れてくれたのですが、これものすごく日本っぽい、というか、まさしく日本のものでは?というところも含めて高ポイント。

オランダは17世紀から18世紀にかけて、海洋帝国として北海から世界に漕ぎ出で、栄光のオランダ黄金時代を築いた国です。また、国土の4分の1が海抜0メートル以下であり、北海との格闘の末、国土を築き上げた国です。その北海をずっとみてみたいなと思っていました。風も波も強くて、この風を捉えて、この波を超えて400年も昔に日本にも来たんだろうなと、とても感慨深かったです。

 

今も昔も、海の向こうに人は可能性とか希望を見出すものなのかもしれません。そして、多分海の向こうに何かがある、と思ったから、今自分もオランダにいるんだろう、と思います。いまだ何も見つけられていなくて焦るけど、今見たもの、一生懸命考えたこと、悔しいこと、そういったものが99%空回りしながらでも1%前に進めたら、きっとまた違う景色が見られるんじゃないかな、と思います。そして本当にそうだったら嬉しいな、と思います。

 

それでは、ハーグ後編も読んでいただきありがとうございました。

 

蛇足

ブログを書くにあたって、スヘフェニンゲンについて少し調べていたのですが、近くにヌーディストビーチがあると書いてあったので、へえ、そんなものがあるんだ、と思い検索したら、ありすぎて驚いた。

オランダの北海沿いヌーディストコーストじゃん、と突っ込みたくなるほど。

とはいっても、そういった場所のほとんどは乱れた感じではなく、至って真面目にナチュラリストという主義の人たちが自分を開放して?寛ぐ場所だそうで、冷やかしやジロジロ見るのはマナー違反だそうです。ちょっと違うけど、日本の温泉も、寛ぐ場所で、ジロジロみたりはしないだろうし、そういう感覚なのかもしれません。よくわからないけど。

 

 

世界の秩序を司る街。ハーグ前編

髪をカットしにハーグに行ったという記事を前回書きましたが、そのついでに回ったハーグの街並みをご紹介したいと思います。

ハーグは、オランダ語で Den Haag と綴ります。den は英語の the にあたる定冠詞です。「生け垣 (Haag) 」という単語に定冠詞をつけて、"the 生け垣" と地名化しました。単語に定冠詞をつけて地名化するのはパリの外港、Le Havre  と同じ発想です。(ルアーブルは "the 港" という意味です) 。日本語に例えると、台場に「御」をつけて、"お台場" と地名化した感じに似てるのかなと思ってます。(”御” は尊敬の意も含むのでちょっとニュアンスが違いますが。)

名前の由来でもある生垣で囲った森の一部が現存するとされるHaagse Bos(ハーグの森)。奥は、現オランダ国王一家が居住するハウステンボス宮殿。
Photo by: https://denhaag.com/en/the-hague-forest

 

ハーグは北海に面するオランダ第三の都市でもあり、オランダの行政、政治中心を担い、事実上の首都として機能している都市です。日本大使館を含む各国大使館もハーグに存在し、オランダのロイヤルファミリーもハーグを本拠地としています。また、国際司法裁判所国際刑事裁判所をはじめとした国連、EUなどの数百の国際機関が存在し、国際司法都市としてその名を知られています。日本においても、ハーグ条約、ハーグ協定などハーグの名を関した国際条約をよく耳にすることがあると思います。

司法の街ハーグを象徴する国際司法裁判所。別名、平和宮
日本大使館もここから徒歩数分の距離にあります。

国際刑事裁判所
周辺には都市部とは思えないほど緑豊かなで閑静な高級住宅街が広がっています。
Photo by: https://www.bbc.com/news/world-11809908

また、ハーグは、ヨーロッパ最大の港ユーロポートを有する経済の中心ロッテルダムと共に、ロッテルダム・ハーグ都市圏を形成し、オランダ最大であり、ヨーロッパでも有数のメトロポリタンエリアを構成しています。ハーグとロッテルダムはお互いに通勤圏であり、朝夕には非常に多くの人が駅を行き交います。

ハーグ中央駅。全ての電車はここから発車し、ここを最終目的地とする誇り高きターミナル駅。国際列車が止まるハーグHS駅も徒歩圏内にあります。

 

ガラス張りのモダンな天井はいつ来ても目が奪われる。ダッチ建築はなんの知識がなくても、見ているだけで楽しい。

 

滞在許可証受け取りのため、先月訪れた際のハーグの街角。曇りの日が絵になる街。

まずは、朝ごはんを食べに向かいます。

目的地、Dungelmann。 朝から賑わってます。

Dungelmann

slagerijdungelmann.nl

 

Dungelmannはハーグで150年以上続く肉の名店で、生肉のみでなく、さまざまなデリも販売しており、中でもクロケット(コロッケ)やミートボールサンドイッチなどは名物として観光客や地元の人に非常に人気です。

普段目にするミートボールとは全く違う概念のもの。注文するとスライスしてバンに挟んでくれます。ジューシーで肉の旨味がダイレクトに感じられます。

シンタクロースなるプレクリスマス(12月5日)の時期しか出回らない、一口サイズのスパイスクッキー、ペパノーテン(pepernotenで有名なお店。

ショーウィンドーにはさまざまなフレーバーのぺパノーテンが飾られていました。

こちらはオランダ最古のショッピングセンター、パサージュ (De Passage)

1885年完成の国指定建造物。当時はガラス張りの温室効果で暖かくそして明るく、全天候型のショッピングモールとして最先端だったのだろうと想像できます。

老舗カフェや人気のチョコレートショップの他、スタバやアップルストアなども入っています。
似てるなーと思ったので並べてみた。左はハーグのパサージュ。右がブリュッセルのギャルリー・サンチュベール。後者の方が圧倒的に知名度が高いですが、ハーグのパサージュだって十分いい勝負、だと思いました。

抜けるような青空に映えるウィレム2世像。是非ウィレム公にパッと帽子を被って、カモメを捕獲してほしい、とくだらないことを考える。

ウィレム2世の父親はオラニエ公(オレンジ公)ウィレム1世。よく知られている話ですが、そのオラニエ王家に由来して、オレンジがオランダのナショナルカラーになっています。

ホフ池に沿ってオランダの州旗が掲げられている。一番手前がハーグの自治体旗(Flag of Hague)

白鳥。なんだかかわいい。よくお尻をあげて寝ている実家の犬を思い出した。

ビネンホフ(Binnenhof)はオランダの政治の中心地で、日本でいう永田町です。国会議事堂や首相官邸もこの建造物群に存在します。

伝統的建物の背後には、高層ビル群がそびえており、そのコントラストが印象的です。

中央の建物は、マウリッツハイス美術館。オランダの至宝「真珠の耳飾りの少女」が所蔵されています。この美術館は他にも傑作ぞろいで、写真を撮ってきたので今度ご紹介したいと思います。

お昼はビネンホフで軽く食べることにしました。

goo.gl

絶好のロケーションにある、非常に評判の高いハーリングの屋台。

屋根には隙を狙うかもめが待機中。

悠長に写真を撮っている場合では実はありません。写真右より敵機襲来。

無事撃退し、ビネンホフを眺めながらハーリングサンドをいただきました。生臭みが皆無で今まで食べたハーリングの中でもトップクラスに美味しい。Googleマップで評価が高いことに納得。ここのハーリングスタンドはロケーション的にも、味的にも非常におすすめです。

紅茶専門店もクリスマス仕様。次もクリスマス仕様のショーウィンドー。

木々もすっかり葉を落として冬支度。

髪を切った後は、冬の北海を見てみたいと思い、海へと足を伸ばしました。


これで前編は終わりです。ハーグに来るのはこれで3度目ですが、華やかさや喧騒とは一線を画した落ち着いた雰囲気に、いつ来ても素敵な街だなと感じます。ロッテルダムの進取の気性もエネルギーがあって好きですが。後編は、オランダの海辺のリゾート地スへフェニンゲンをご紹介したいと思います。


それにしても、コスタリカ戦残念でしたね。勝負を勝ち切るって、本当難しいですね。


オランダで美容院に行く。

オランダに来て3ヶ月、髪の毛が我慢できないほどうざくなってきたので、先延ばし案件にしていたヘアカットに行って行きました。アジア人の髪質はヨーロッパ人の美容師には扱いが難しいとよく言われ、日本人もしくはアジア人の経営しているお店に行くのが無難とされています。特にオランダは、美容師になるための資格が存在せず、だれでも開業できるそうで、もちろん非常に腕のよい美容師もいるそうですが、腕は推して知るべしというところも多いそうです。

 

安いなら中華系のおっちゃんのやっている床屋兼美容院に行こうかなと口に出したら、中国系の友人に、What? No! 俺でも行かない、と全力で止められました。日本人美容師さんのいる美容院は以下の通りロッテルダムにも2、3件あるのですが、

 

hairstudio-picnic.com

 

blatto.simplybook.it

 

今回は、友人から勧められたハーグにある美容院に行くことにしました。テストで身動き取れなくなる前にと思い、授業のない日に電車に乗ってハーグまで行ってきました。ロッテルダムとハーグは電車で30分ほどで、15分間隔で電車が出ており、アクセスは非常に容易です。

 

今回行った美容室は、アムステルダムとハーグに店舗を持つ、MIYABIです。

http://www.miyabisalon.nl/ja/

ハーグの中心ビネンホフからも徒歩でいける便利な立地です。髪をカットしてくれた美容師さんは日本からオランダに来て7年だそうです。東京の話をしたり、ハーグでの生活についてお聞きできたりして、楽しかったです。それと、当たり前ですが人の髪は世界中どこにいても伸びるわけで、文明社会に生きるにあたって、美容師という職業(特に日本の技術のしっかりした美容師)は世界中で需要のある技術職であり、やはり手に職、というのは素晴らしいことだなと思ったりしました。

 

デビットカードが主流で、クレカの使えない店も多いオランダで、VISAもMASTERも使えます。

時間をかけて丁寧にカットしていただき、気分もすっきりしました。腕も確かですので、ハーグだけでなく、ロッテルダムやライデンに住んでいる方でヘアカットをしたい方には、とてもおすすめの美容室です。また、平日限定ですが、学生割引で料金が30%引きになります。学生証を提示する必要があるので、カード形式の学生証の方は忘れずに持っていくと良いと思います。

 

ハーグはアムステルダムなどの有名観光地と違い、ハーグ条約とかで名前は聞いたことがあるけどね、という程度の日本人的には馴染みが薄い街かもしれませんが、非常に美しい都市なので、次回ご紹介したいと思います。

 

マックすら雰囲気を醸し出す街、ハーグ。

 

買い物、エラスムス大学生御用達スーパーPLUS編

病院帰りにスーパーPLUSで食料品を買い込んできました。PLUSもアルバートハインほど大規模ではないものの、オランダ全土に展開する小売チェーンで、良心的な値段設定や顧客重視のサービス、サステナビリティの観点などから、何度も"most customer-friendly supermarket" に選ばれているスーパーです。

Photo by 

https://www.producebusinessuk.com/trendsetting-plus-retail-in-netherlands-sets-global-standard-for-sustainability/

 

私が利用する店舗には、日本に行ってみたいのよね!というとってもフレンドリーなレジのおばちゃんがいます。地元の人のみでなく、キャンパスから徒歩5分〜7分という立地もあって、行くと必ず知り合いが買い物している、というくらい多くのエラスムス大学生に利用されている店舗です。

 

まずはパンコーナー。工場製から店内製造のパンまで山ほど並んでいます。

 

GRATISは無料、という意味。1個買ったら1個無料、というのは海外あるある。0.59€なので2個で80円くらい。

 

パン類は基本安価で、多くのパンが1つ0.5€ほどです。袋が床に落ちているのも日常。落としたら拾えよ、とも一瞬思いますが、逆に拾って棚に戻されたら、そっちの方が断然困ります。

 

こういうお酒のつまみ系はどこのスーパーも非常に豊富。確かにオランダ人酒好きです。ちなみにビールは水。さすがハイネケンの生まれた国。

 

これは3種類のガーリック味のディップで、とてもおいしかったです。1つ3€ですが、写真のように2個で4€とよくセール価格になっており、そういうときに購入します。朝食はこういうディップとクラッカー、そして紅茶かコーヒーで簡単に済ませることが多いです。

 

ハムとチーズでサンドイッチはお昼の定番メニュー。素材がいいので、美味しい。でも正直飽きる。同じものを年中疑問に思わず食べ続けられるオランダ人すごいと思う。

 

この保冷庫は15%節電、環境に配慮しています。というシール。こういうのは日本人的にはあまり気に留めないのですが、オランダの人はしっかり見ていて、こういうちょっとしたサステナビリティの観点が、企業への評価に大きくつながっているというのが環境先進国らしいと思います。

 

"ready-to-eat" 的な商品を買って見たいけれど、電子レンジがないので買ったことがないです。No 電子レンジ=No 温め直し=No 作り置き=毎回料理、となることをオランダに来て知りました。とくにご飯。地味にめんどくさい。

 

上段2段目、左のラップのようなものは、ピザ生地がラップのように巻かれて入ってます。

 

一番左の葉付きオレンジ(商品見えてないですが)キロ2.49€。葉付きって何が違うの?と聞いてみたところ、葉は枯れやすいので取ってしまうのが普通だそうです。ゆえに葉が付いている=新鮮な証、なのだそう。商品の価値の持たせ方や売り方って色々あるものなんだな、と感心しました。

 

柿も売ってました。半分に切ってスプーンで食べるらしい。

 

SURIMI(カニカマ)はもちろんオランダでも人気。まあ、このコーナーほぼ全部酒のつまみ。

 

オランダ名物ハーリング。ニシンのフィレを塩漬けしてマリネしたもの。これは、酢飯と一緒に握ってもとても合うと思うので、今度やってみます。

 

ムール貝、2キロで8€。ベルギーで食べたとき美味しすぎて驚いた。普段は買わないけど、落ち込んだときにでも買って、白ワイン蒸しにして自分にご馳走してあげよう。うん、そうしよう。

 

こういうお肉コーナーはよく割引しているので買いますが、日本のものと比べて日持ちしないのでその日のうちに食べるか冷凍するかしないといけません。

PLUSはアルバートハインと比べて1割から2割値段設定が安いような印象です。

 

なんだかスーパーの記事が多くて、お前はスーパーにしか行ってないのか、と自分でも突っ込みたくなりますが、3食自炊するということは、こんなにちょくちょくスーパーに行くものなんだと、そしてそれに時間がかなり費やされるということを初めて知りました。親の有り難みも実感。

 

11月下旬になりスーパーにも、もみの生木が売られてました。側を通っただけで、木のいい匂いがしました。3000円弱くらいの価格。

冬の楽しみはクリスマスとバカンスの計画という北ヨーロッパに留学しているので、クリスマスにかけるヨーロッパの本気をご紹介できたらいいなと思っています。まあ、でもクリスマスが近いということは、学期末テストはさらに近いということで、今回結構難しい授業なので、そろそろ本腰を入れてテスト勉強もしていきたいと思います。

ロッテルダムで病院へ行く

先週の話ですが、病院に行ってきました。引っ越し荷物同様、一体誰かの役に立つことが果たしてあるのか?という程度の情報ですが、記しておきます。

 

ようやく治ったのですが、ここ3週間ほど風邪を拗らせていました。最初の数日は熱も38度後半まで上がり、その後夜も眠れないほど咳が出て、これはCovidでしょ、と簡易検査を日を開けて3回しましたが陰性でした。咳とだるさがあまりにも長引くのでオランダの病院に診てもらうことにしました。

 

医院前。かわいらしくなんだか病院らしからぬ外観で、ここで本当に合ってんのか、と思わず地図を見直す。

 

オランダは家庭医制度をとっているため、日本のようにさくっとノーアポで病院に行くことはできません。

 

家庭医登録に必要なものは、1つ、オランダのマイナンバーに当たるBSNナンバーです。オランダでは、このBSNナンバーがなければ、携帯電話の年間契約も銀行口座も開設できない、という日常生活において非常な大事なナンバーです。即日発行してくれる市町村もありますが、ロッテルダム市役所は2週間かかります。というのは建前で、2ヶ月から3ヶ月かかります。この前、担当者を3度電話で急かして、大きなため息とともにようやく発行してもらいました。

 

次に、居住地周辺の家庭医を探して電話やホームページから家庭医登録の申し込みをします。大体、郵便番号指定で、これらの郵便番号の地域の住民なら家庭医登録できます、と限定しているので、日本のように少し遠い評判のよい病院に行く、というのはできません。私は大学周辺の家庭医のホームページを全部開いて探しました(と言っても6医院程度ですが)。家庭医登録は、承認されるまで数日、予約を取るのにも数日かかります。私は具合が悪くなってからしたので大変でした。教訓、調子を崩す前に家庭医登録しよう。夕焼けに鎌を研げ、です。

 

新規はもう受け付けないという医院もあったのですが、幸い寮から一番近い医院が、エラスムス大学のインターナショナルスチューデントに限り新規で受け付ける、とホームページにあったので、早速電話したところ、

 

”登録ならインターネットから申し込みして、明日以降に承認するから。”

 

と言われました。登録後2日経っても承認のメールがこないので、再度電話して、

 

”咳がひどくてもう寝られない。苦しくて大変だから早く登録して診てほしい。”

 

という旨で大袈裟に窮状を訴えたところ、

 

”そんなにひどいならしょうがないわね、ふー。”

 

といって、やっと登録してくれ、予約を三日後に取ることができました(もうこのやる気のなさに驚かなくなって、むしろ面倒臭そうに処理してくれても、面倒くさいのにやってくれたことを有り難く思うようになってきた)。この、病院に罹ろうとしてから診てもらうまで6日もかかり、その頃には治ちゃってるじゃん!という気の長さでしか物事が運ばないのがオランダです。

 

6日後幸い?まだ治ってなかったので、わが家庭医に会いに行って参りました。

 

先週の月曜日。すっかり秋の大学構内。大学の近くにはトラムの他、地下鉄も走っています。

 

道を渡って行きます。赤い車道は自転車専用道路。ものすごいスピードで自転車が通ります。スマホを見たり、ぼーっとしていると轢かれるので注意。

 

朝9時半。冬の(正確にはまだですが)太陽高度の低さに高緯度地方にいることを実感。オランダはカムチャッカ半島南端やサハリンと同緯度です。

 

寮から徒歩8分。到着しました。メディカルセンターと確かに書いてあります。歯科も入ってます。

 

玄関を入って、すぐ左が歯医者。奥が医院。

 

広い待合室。予約制なので、患者は私も含めて3組のみ。5分ほどで呼ばれました。

診察した結果、気管支が炎症を起こしていると言われ、処方箋を書いてもらいました。病院代は31ユーロほどでカード決済しました。

 

医院の隣は、エッシュ浄水場跡。マース川沿いに建設され、写真中央の給水塔は1977年に廃止されるまで100年以上ロッテルダム市内に安全な飲料水を供給していたそうです。1981年にオランダ国指定建造物と認定されました。

 

当時はマース川に沿って何面もの大規模な貯水槽があったそうですが、宅地化され、現在はこの一画のみ保存されています。風がほとんどない日で、貯水槽に周囲の建物が鏡面反射していました。


帰り道に調剤薬局で薬をもらい、薬代は約25ユーロでした。病院のホームページを貼っておくので、もし必要でしたら参考にしてください。

Gezondheidscentrum DWL

gezondheidscentrumdwl.praktijkinfo.nl

 

薬局の隣に、スーパーPLUSがあるので、外出したついでに買い出しもしました。ここはアルバートハインより価格が安めで、地元の人だけでなくエラスムス大学寮生御用達のスーパーなので買い物編として、後日ご紹介したいと思います。