ハーグ市街地から歩いて向かったのは、北海に面するスへフェニンゲン(Scheveningen)です。夏場はオランダだけでなくドイツからも多くの海水浴客が訪れる人気のビーチリゾートです。一部の日本の方には、「スケベニンゲン 」という名でなかなかに知名度 の高いビーチらしいですね。さすがにこの季節は閑散期ということで、地元の方がちらほらと散歩している程度でした。
これが地図でいつも眺めていた北海か、と少し感動。
沖ではサーフィンをしている人が結構いました。ということは波が荒いんだな。そういえば、北海は荒い海で、北海油田 のパイプラインを敷設するとき苦労した、と高校時代習ったことを思い出しました。
ということで、寮に帰って地図を引っ張り出しました。
わざわざオランダにまで持ってきた高校地理選択者のバイブル、帝国書院 「新詳高等地図」。これを見ると、「知らない地名は、必ず地図で確認しろよ!工業も農業も経済も、気候や地形と密接に関わってる!」という教師の言葉を思い出します。めちゃくちゃ懐い。
スへフェニンゲンは、「スへーヴェニンゲン」と書かれていました。
冬の砂浜は少し肌寒くて、波が荒くて、中原中也 だな、これは。
海にゐるのは、
あれは人魚ではないのです。
海にゐるのは、
あれは、浪ばかり。
(中原中也 、「北の海」より一部抜粋)
ほんと波すげーな、と思いながら、海の写真を撮っていました。 と、そのとき
海にいるのはおいらですぜ!!
と颯爽とあらわれたジャーマンシェパード 。写真や動画を撮ってると何度も「写りに来てやったぜ!」となぜかカメラ目線で目の前を通っていく。めっちゃかわいい。
ほぼ毎日ここに散歩にきてるそう。とても賢い子で、遊んでいるボールが砂だらけになると、海に持っていって砂を落としてから、また遊んでました。
何度も楽しそうに海に入ってました。
昼もハーリング サンド食べましたが、せっかくなのでスヘフェニンゲンにきたら、ここというハーリング の名店へ。その名も
The Herring House
goo.gl
夏は行列ができるらしいですが、流石に閑散期なので空いていました。それでもお客さんはそれなりに途切れません。
注文してから、丁寧に骨を取って、一口サイズにカットしてくれます。
塩やビネガーだけでなくオイルでもマリネしていて、今まで食べたものより濃厚な味わい。お酒案件。
ハーリング を食した後、クールハウスに向かって歩いて行きました。
クールハウス (Kurhaus) はビーチリゾート、スヘフェニンゲンを象徴する5つ星ホテル。
1818年開業。クールハウスは、スパハウスという意味らしいです。
こんなシャレオツなホールも。ここで弾いてみたい。余談ですが、15年ほどピアノ習ってました。 Photo by https://www.amrathkurhaus.com/de/galerie
そろそろ日も暮れてきたのでハーグ中央駅に戻りたいと思います。
電車に乗る前に、たくさん歩いたので、糖分を補給したいと思います。
Haagsche Oliebollenbakkerij
www.dehaagscheoliebollenbakkerij.nl
たくさんの人が群がっているこの特設屋台は、オランダの年末の風物詩、オリボーレン(Oliebollen)。店の名前は、その名も「ハーグのオリボーレン屋さん」
一言でいうとドーナッツ。見ためは沖縄のサーターアンダギー。中にレーズンなどが入っていて、粉砂糖をかけてくれる。左はアップルフリッツ。シナモンがたくさんの厚切りのりんごのスライスが入ったドーナッツ。オランダ人は大晦日 にオリボーレンを必ず食べるそうです。オランダ人のカンファタブルフードなんだろうな。
これはアップルフリッツ。どちらも外はサクッと、中はふんわりしていてとても美味しい。でもこれは、きっと揚げたてを寒い戸外で食べるから、美味しさ倍増なんだと思う。
ライデン大のハーグキャンパスも。
それではロッテルダム に帰るとします。
なんか雰囲気が東京駅の八重洲 口に似ています。実は、八重洲 はオランダに由来した地名です。江戸時代オランダ人通史、ヤン・ヨーステンの屋敷があったことから、”やよす”から八重洲になったそうです。
なんかこの先に、大丸がある気がしてきた。
似てると思ったので、八重洲北口 と比較してみた。八重洲北口 画像は、「バス比較ナビ」サイトよりお借りしました。
https://www.bushikaku.net/article/62302/
ハーグ中央駅に戻ってきました。このガラス張りの駅やっぱりかっこいい。それにしても、中央の人、足の長さおかしくないか?
オランダ人は全体的に高身長であるものの、ここまで背が高い人はオランダでも珍しいです。
ロッテルダム に着いたら、まだ17時台なのにもう日が落ちていました。ハーグ中央駅もいいですが、ロッテルダム 中央駅も素敵です。ロッテルダム の標語、"Rotterdam. Make it happen.(難しいことや不可能なことを)やってやろう” を体現している駅だと思います。日本人には、蘭姉ちゃんの角、と呼ばれてますが。
今日の戦利品。スヘフェニンゲンのハーリング ハウスでハーリング の燻製を買ってきました。ふわとろで生の鰻の白焼きを食べているみたいな感じです。このお弁当の折?みたいなものに入れてくれたのですが、これものすごく日本っぽい、というか、まさしく日本のものでは?というところも含めて高ポイント。
オランダは17世紀から18世紀にかけて、海洋帝国として北海から世界に漕ぎ出で、栄光のオランダ黄金時代を築いた国です。また、国土の4分の1が海抜0メートル以下であり、北海との格闘の末、国土を築き上げた国です。その北海をずっとみてみたいなと思っていました。風も波も強くて、この風を捉えて、この波を超えて400年も昔に日本にも来たんだろうなと、とても感慨深かったです。
今も昔も、海の向こうに人は可能性とか希望を見出すものなのかもしれません。そして、多分海の向こうに何かがある、と思ったから、今自分もオランダにいるんだろう、と思います。いまだ何も見つけられていなくて焦るけど、今見たもの、一生懸命考えたこと、悔しいこと、そういったものが99%空回りしながらでも1%前に進めたら、きっとまた違う景色が見られるんじゃないかな、と思います。そして本当にそうだったら嬉しいな、と思います。
それでは、ハーグ後編も読んでいただきありがとうございました。
蛇足
ブログを書くにあたって、スヘフェニンゲンについて少し調べていたのですが、近くにヌーディスト ビーチがあると書いてあったので、へえ、そんなものがあるんだ、と思い検索したら、ありすぎて驚いた。
オランダの北海沿いヌーディスト コーストじゃん、と突っ込みたくなるほど。
とはいっても、そういった場所のほとんどは乱れた感じではなく、至って真面目にナチュラリスト という主義の人たちが自分を開放して?寛ぐ場所だそうで、冷やかしやジロジロ見るのはマナー違反だそうです。ちょっと違うけど、日本の温泉も、寛ぐ場所で、ジロジロみたりはしないだろうし、そういう感覚なのかもしれません。よくわからないけど。