10月31日から冬時間になり、日本との時差は8時間になりました。日曜日の午前3時に切り替わり、午前2時と時計が1時間戻るのを確認しました。0時でないのは、日付をまたぐと飛行機の時刻など生活に支障が出るためで、そのため、ほとんどの人が睡眠中で生活に差し障りのない時間帯である深夜3時に変更するのだそうです。外からは、パーティをやっている人たちの、Extra One hour!! という賑やかで楽しそうな 声も聞こえてきていました。様々な人がいるので、カテゴライズ化すると語弊がありますが、ヨーロッパ系の人たちは基本的に本当にパーティが好きです。
さて、オランダに渡航して2ヶ月が過ぎたので、オランダに来る前と来た後のここまでの変化を記してみます。
まずは、変わったこと。
- 自炊できるになった。1日1回は鍋でご飯を炊いて食べています。
- ドイツ訛りの英語、オランダ訛りの英語に耳が馴染むようになってきた。授業で教授の訛りがきついと内容に全然集中できないのが地味に辛かった。また、アメリカ英語やイギリス英語を聞くと、あまりの聴きやすさに耳が喜ぶという現象が起きるようになりました。
- 待ち時間の耐久が付いた。最近は30分電話で待たされてもイライラしなくなりました。"あぁ、これ、今日もまた長くなるパターンか、じゃ部屋の掃除でもしながら待つか”という心境になりました。それでも先日、ロッテルダム市役所に電話して、”OK!それじゃあ担当の部署に繋ぐからね!”からの流れで内線で15分以上待たされるとは思わなかったけど。また新たな経験値をゲットした、ということにします。でもこういうことで他人の時間を奪わない日本って凄いなぁ、としみじみ思います。オランダ生活ポイントは、待つ。怒らない。いらいらしない。でも何度も電話する。メールする。相手が折れるまで。オランダ人は仕事は日本に比べて遅いけど、こちらが希望を出したり、要求すると必ずしてくれる。そこは信用できる気がします。いや、したい。まず、人の話など真剣に聞いちゃいないというのを前提に、10001回目は伝わると思って何度でもアプローチすることを大事にして、今後も交渉していこうと思います。
- 議論で話を遮られても、自分に流れを戻せるようになった。遮られても、"please let me finish." と目を見ていうと大抵の人は"Go head."ってなります。また途中で別の人が話を被せてくるけど。人の話を最後まで聞くっていう発想は、今のところヨーロッパ人にはないと思われます。でも、授業中、人の話を遮って喋りまくってるドイツ人学生二人組は、オランダ人をはじめとするいろいろな人から、あの人たち、自分達だけ喋りすぎ、と嫌われていたところを見ると、一人勝ちというか、唯我独尊みたいな態度は、主張して批判してこそ一人前みたいなオランダ人にも嫌われるというのが面白いなと思いました。『幸せな小国 オランダの知恵ー災害にも負けないイノベーション社会』(紺野登、2012)のなかで、オランダ人の特性の一つに、日本の「出る杭は打たれる」と同様に、”伸びる草は刈り取られる”ということわざがオランダにはあり、だから、オランダ人は”十分クレージーにふつうに行動す”るという一説があり、この件で妙に納得しました。
朝8時。みな朝が弱いのか、朝の大学構内はいつも貸切状態。
次は変わらないこと
- 英語力です。まだ3ヶ月弱ということもありますが、驚くほど変わりません。むしろ、日本でTOEFL iBTの勉強をしていたときのほうが、語彙力などに関しては強化されていたと思います。ただ、前述したように、ヨーロピアン英語に慣れてきたという意味では、リスニングの守備範囲は広がりました。
そして、その他気づいたことです。
- 一つ目は人種、国籍で固まる傾向が強いこと。授業内でも外でもオランダ人はオランダ人、韓国人は韓国人、中国人は中国人、アフリカ系はアフリカ系という感じで人種や民族でグループ化する傾向が非常に強いです。これは当たり前なのかな、とも思います。世界中にある中華街しかり(もちろんロッテルダムにもあります)、秘密結社と揶揄される三田会しかり、同じ文化的コンテキストを持った人々と時間や情報を共有して協力することは、新しい環境や、厳しい環境で生存、繁栄するための戦略の一つだと思うからです。
2019年北京にて。チャイナヘイターの嵐にも負けず、本土を出て異国の地で逞しく根付く彼らに学ぶべき点も多くあると思います。声大きいけど。妈妈めっちゃ怖いけど。 - 二つ目はこれも今の話の延長ですが、オランダ人の友達は簡単にできないということ。1年もしくは半年ポッキリの留学生とわざわざ深い関係を築きたいというモチベーションが現地学生にはないようです。縦のつながりも横のつながりも既に構築されている中で、これはしょうがないことかな、とも思います。しかし、せっかく留学中なのでグループワークのときなどに積極的に話をして少しずつ交流を広げていければいいな、と思っています。
- 三つ目はオランダ人は個人主義で、他人にいい意味で悪い意味でも関心がないということです。それが多様性があり差別があまりない、というオランダの移民に寛容な環境を作っている気がします(要経過観察)。人種のサラダボールという人種間の共存を表す有名な表現があります。これはトマト、キュウリ、レタス、などそれぞれが独立して存在し、サラダという1品を構成しているという捉え方ですが、共感は出来ないし、大して興味はないけど、存在は認める、というオランダの緩さは、無理なく異人種間が共存しやすい環境であると思います。これはグローバル感覚とかボーダーレスとかいう大層なものではなく、もっとあっさりとした合理的な生き方や感覚なんだろうな、と個人的には見ています。ただ、もちろん政府は移民同化政策も推し進めているそうです。
移民帰化局に居住許可証を取りにハーグへ。真珠の耳飾りの少女とも対面。
最初の1ヶ月は新しい環境で試行錯誤したり、物珍しかったり、留学ハイではないけれどどこか緊張してすごしていたものの、目新しいことも、何処にいても、いつかは日常になるということで、最近はようやく落ち着いてきた気がします。ただ、高緯度の西岸海洋性気候というオランダの冬の典型である曇天と雨、日照時間の短さ、プラス冷え込みで、体調が崩しやすくなっています。体調が悪いと、無性に便利な日本に帰りたくなります。何事においても丁寧で、迅速に物事が進み、そして文字通りの便利ショップ、コンビニがある環境が恋しい。
あとオランダは水道水は飲めるけど、美味しくありません。いつもコーヒー、紅茶を飲みたいわけでもないので、これが地味につらいです。
そして蚊がでかい。網戸がないので刺されまくる。換気のため窓を開けるとこの季節でも普通に侵入してくる。
オランダ人やヨーロッパ人の特性はあるものの、日本と一緒で結局人はそれぞれです。グループワークで対立したり、感情的になって揉めても、授業が終わればそんな過程をすっ飛ばして、一緒に飲みに行ったり遊びに行ったりと友達になれる人もいれば、自分では相手の欠点や改善点を山ほど言っても、自分が一つでも言われると我慢できない人もいます。みんな違うので、1回1回その都度向き合っていくというのはどこにいても変わらないな、と思います。
最後にオランダで改めて思いましたが、漫画は偉大です。日本が好きという人は、ほとんどが漫画、アニメが好き、と言います。特にジブリの人気がすごいです。
という感じで、ここまでの変化や気づきをまとめてみました。とは言っても、まだオランダに来て3ヶ月も経っていないので、今後また考えや感じ方がどんどん変わっていくと思います。その都度定期的に記していきたいと思います。