大変ご無沙汰しております。
さて、早いもので日本帰国まであと三週間ほどになりました。いいこともそうでないことも沢山あったな、と考え深いです。(まあ、どこにいても日常ってそんなものかもしれませんが)
さて、帰国前に是非行っておきたいと思っていた、ユネスコの世界遺産にも登録されているキンデルダイクへ行ってきたので、今回ご紹介したいと思います。
オランダといえば、チューリップと風車というのが、2大イメージであると思うのですが、まさにその通りで、特に風車はオランダの日常風景に溶け込んでおり、電車や車から眺める郊外の景色は見渡す限りの平坦な土地、そしてその中に認識できる高層建造物は、ちょっとしたビルをのぞき、教会と風車の2択と言ってもよいほどです。
そんなオランダにおいても、動力源が蒸気機関、電力ポンプと移行するにつれて、風車は姿を消し、現存する風車数は1000基ほど、19基もの風車群が現存する場所はキンデルダイクのみになりました。
さて、キンデルダイクへはロッテルダムから水上バスを使用するのがおすすめです。21番はキンデルダイクへの直行便になっています。
時刻表はこちら
Waterbus dienstregeling - De Waterbus
日曜日(zondag)は時間が違うので注意が必要です。ちなみに、オランダ語で日曜を意味するzondagは、博多どんたくの”どんたく”(休みの日)の由来になっています。
電車同様、船にも自転車を積み込めます。このバス停でとても品の良い女性に話しかけられたのですが、これからビネンロッテの市場に行くの!お先にね!と自転車ごと乗り込んで行きました。
しばらくすると、キンデルダイク行き(21番)もやってきたので乗船。
船内にいるにはあまりに良い天気なのでデッキに移動。
20分ほどの乗船で、キンデルダイク駅に到着しました。
それにしても、ミッフィーにしろ、キティにしろ、出銭ランドのアニマルたちの愛想の良さとは対局的な表情だと思うんですが、愛嬌と人気は別なのが興味深いところです。
ビジターセンター前を通り過ぎると、これぞオランダという風景が広がっていました。
風車の羽一枚の長さは大体15メートル。日本の2階建の建物の高さは大体7メートルと言われるので、羽一枚で4階建の建物の高さとほぼ同じになります。
この巨大な羽で、毎分1万リットル以上の水を排水していたそうです。(今もメインの排水設備ではないですが、しているそうです)
キンデルダイクは散策するだけなら無料ですが、風車内の博物館見学やボートツアーなどに参加する場合は大人16ユーロです。
せっかくなのでチケットを購入して風車内も見学。
これぶつかったら死亡案件なんですけど、と言ったら、風車の管理人の方が真顔で、そうだよ、と言ってました。風車守の人々は家族で風車に今も昔も住んでいるのですが、羽側の入り口は、絶対絶対出入りしないよう子供たちなど家族は徹底して教えられているそうです。
現存するほとんどの風車には、現在も人々が暮らし、風車のメンテナンスをしています。
ボートに乗船。正直景色はそれほど変わりませんが、ガイドさんの話がよかった。色々なお話を聞けました。
また、キンデルダイクはkinder(子供の)dike(堤)という意味ですが、17世紀の大洪水の際、猫に守られた赤ん坊の乗ったゆりかごがこの堤に辿り着いたのが由来であると言われているそうです。
ちなみに、日米修好条約批准のため、福澤諭吉(慶應内では呼び捨てにはされず、福沢先生と呼ばれてます。)などを乗せ太平洋を渡った咸臨丸は、ここキンデルダイクで起工され、日本に送られました。咸臨丸を製造した造船会社は現在もキンデルダイクで造船業を営んでいます。
司馬遼太郎がオランダ紀行でもこのことに触れています。だいぶ古い本ですが、内容的には全く色褪せない名著なので、オランダに興味がなくとも読む価値は多いにあると思います。特にゴッホの話は良かった。
また資金繰りの話も出ていました。
ここにいる皆さんはお金を払ってチケットを購入してくれたので、私たちへの寄付になります。ありがとうございます、というのを聞いて、正直チケット代高いんだよな、と思ってたのですが、やっぱ購入してよかった、と思いました。
キンデルダイクの川向いには牛たちがいた。これも非常にオランダらしい風景。
帰路に着く前に、少し街散策。日本もそうですが、オランダも郊外には、のどかでかわいらしい町が点在しています。
パンを買って、桟橋で水上バスを待ちながら食べましたが、ほっとするやさしい味でした。おいしかった。
長閑な風景とは裏腹に風車は、水に対し背水の陣で臨むオランダの歴史そのものです。今回オランダの残っていた宿題の一つが片付きました。
それでは最後までお付き合いいただきありがとうございました。