ウィーン二日目の朝です。
オーストリアを代表する観光地シェーンブルン宮殿は、日中は激混みで入場に数時間待ちも当たり前ということで、多くのアングロサクソンの弱点であり、大抵のアジアンの特技であるコードネーム”早起き”という作戦を仕掛けることにしました。
8時半(開館時間)に合わせて行動開始。
ただこの戦法の唯一にして最大の弱点は、
誰でも思いつけるためもはや戦法ではないということで、
実はすでに人はそれなりにいて、受付の人に、
”今すぐのツアーに入る?枠はあと2名よ。次だと10時の回になるけどどうする?”
というくらいの薄氷の勝利でした。
シェーンブルン宮殿の外壁の黄土色は、シェーンブルン・イエロー呼ばれているそうです。黄色は富の象徴ですが、特にハプスブルク家によって使われたこの色は、ステータスの象徴として、領内の大貴族の屋敷や教会などに採用され、徐々に裕福な庶民そして農民にも浸透し、当時のオーストリアを代表する色になりました。
(出典:https://secretvienna.org/i-want-schonbrunner-gelb/)
ツアーでは40室が一般公開されています。残念ながら撮影不可だったのですが、まあ、よくこんなに手を変え品を変え豪華にしたもんだなという部屋が延々と続きます。
ヨーロッパにハプスブルク家ありと言われた権勢とそれに付随する強力な富の吸引力を改めて感じました。ただ、フランツ・ヨーゼフ1世の書斎は、彼の真面目な性格を反映して簡素でした。
彼の奥さんは美貌で有名なこの方。
音声ガイドによると、彼女の美への執着は非常に強く、食べない、運動する、が基本スタンスだったそうです。実際に使用した運動器具なども展示されていました。
30代半ばからは写真を撮られたり、絵画に描かれるのを嫌がるようになったそうで、若い綺麗なころの自分を皆に記憶していてもらいたい、という彼女の望み通り、当時も今も「美しい人」のまま人々の記憶に凍結されています。
さて、1時間のツアーが終わり、庭園に移動しました。果樹園、動物園などがある広大な庭園は無料で解放されています。
見てきませんでしたが、日本庭園もあるそうです。
とりあえず、目指すのは丘の上に建つグロリエッテ。
宮殿見学の疲れを庭園で癒しましょう、みたいなことがパンプレットに書かれていたけれど、いや、疲れ倍増だから、というくらい広大な敷地です。
ヨーロッパの噴水あるあるだと思うのですが、彫刻の存在感がありすぎで、噴水というより水場にある彫刻です。
シェーンブルンは、ドイツ語で美しい泉という意味ですが、今でも水が庭園内に沸いているそうです。ちなみに、ウィーンの水道水はアルプスの雪解け水を使用しているため美味しいことで有名です。実際アパートメントの蛇口から水を飲んで、え、うまっ!とコップを2度見しました。(オランダの水道も水質的には飲料可でしたが、うまいかどうかはまた別問題です)
丘を登ってきました。
今でもガラスの天井、と女性の社会進出を妨げるバリアはありますが、マリア・テレジアの時代もありました。父の後を継いだとはいえ、彼女は女性なので、神聖ローマ帝国の皇帝にもなれません。そしてハプスブルク当主になるや否や、女のお前を当主として認めてやるかわりに領地を分けてよこせとハプスブルク潰しが始まりました(オーストリア継承戦争)。彼女は赤ん坊を同伴して領内を駆け回り戦いを乗り切りました。グロリエッテはその戦勝の記念建造物です。
20年間で16人の子供を産みながら、激動のヨーロッパの真ん中で政治手腕に長けた君主としてハプスブルグ帝国を支配しました。ちなみに、娘のマリー・アントワネットが美しいと有名ですが、実は母親のマリア・テレジアの方が美人として有名でした。
こちらはマリー・アントワネット。マリア・テレジアの面影もあります。
説明には、フランスに住む娘から来たこの絵を見て、娘の元気な様子にマリア・テレジアは大喜びをして宮殿に飾った、と書かれてありました。その後の歴史の激動はまだ誰にもわかりません。
さて息も絶え絶えに登ってきた報酬として、この丘からはシェーンブルン宮殿の背後に、ウィーンの街並みが一望できます。
しかし、ウィーン・パスを購入した者にはさらに高みを目指す権利が与えられています。(普通に入場料をエクストラで払えば誰でも登れます)
ということで門まで戻ってきました。時刻間もまもなく12時、激混みになってきたシェーンブルン宮殿を出発しました。
U4(地下鉄4号戦)に乗って、カールスプラッツ駅まできました。お昼ご飯の目的地まで歩いていきがてら、街中散策。
マリア・テレジアの父、カール6世がペスト撲滅祈願のために建てた教会。世界中を震撼させたペストの前になすすべもなく、神に祈るという最後の一枚の切り札感を感じる、荘厳さ。Covid-19 を経験した我々にも、パンデミックへの不安や恐怖は共感できます。
場所柄、ラフマニノフ、ホロヴィッツ、カラヤン、バーンスタインなどなど今も昔も世界の名指揮者演奏家たちの常宿です。
目的地に着きました。
ウィーンの有名なホットドックスタンド、愛嬌のないうさぎが目印の
Bitzinger Sausage Stand
https://maps.app.goo.gl/p2LTuaFTCAcWN87w8
現金のみなのでそこだけ要注意です。前の人が現金がなくて、友人に声掛けしたりして10分くらい待ちました。
実物の画像がないので、画像拝借しました
ウィーンのホットドックは、バゲットに穴を開けてそこにソーセージを挟みこむという、絶対ソーセージが落ちない合理的スタイル。そしてドイツもそうですが、肉食文化圏はやはり肉を調理するのが上手です。スパイスの配合が日本のソーセージと違うのか、しみじみ美味いです。
このお店の素晴らしさは、こちらの建造物を眺めながら食事できるところにもあります。
実はソーセージブレッドを2個購入して、余ったら後で食べようと思っていたのですが、朝ごはんを抜いて、広大なシェーンブルン宮殿を歩きまわっていたので、エネルギー不足だったのか2本完食。エネルギーチャージ完了したので、次の目的地、ベルヴェデーレ宮殿に移動しました。
ウィーン市街を見て感じたのは、あれもこれもハプスブルグの王宮でどんだけ城持ちなんだということです。
長くなりすぎてしまうので、一旦ここで締めます。
それでは、今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。